30代の100世帯。約30世帯は100万円未満、約26世帯は1000万円以上
調査結果の割合を100世帯に置き換えてみます。同じ30代・二人以上世帯が100世帯集まれば、金融資産が100万円に届かない側はおよそ30世帯。1000万円以上の側も、およそ26世帯です。その両方を一つに混ぜた平均が1096万円でした。1
1096万円を見た瞬間、僕が開いたのは平均の解説ではなく、同じ表の金額帯です。平均の隣に中央値311万円があっても、そこで止まれば半分しか読んでいない。30代の景色を変えたのは、100万円未満30.3%と1000万円以上25.8%が並んでいる事実でした。1
両者の差は4.5ポイントです。平均1096万円は正しい。しかし、この分布を一つの「普通」に押し込むには、30代の家計は割れすぎています。金額帯をまとめ直すと、全体は次のようになります。1
- 金融資産非保有17.6%+100万円未満12.7%:計30.3%
- 100万円以上500万円未満:25.6%
- 500万円以上1000万円未満:15.7%
- 1000万円以上2000万円未満:13.3%
- 2000万円以上:12.5%
- 無回答:2.6%
平均1096万円は本当だ。「普通」と読むのが間違いだ
平均は回答額の合計を回答世帯数で割った数字です。大きな金額を持つ世帯がいれば上へ引っ張られます。中央値は、世帯を金融資産の少ない順に並べたとき、真ん中に位置する世帯の金額です。今回の平均1096万円は、中央値311万円の約3.5倍でした。142
平均1096万円は正しい数字です。ただし「普通の30代は1096万円持っている」と言い換えた瞬間に間違う。中央値311万円も万能ではありません。真ん中の一点は示せても、100万円未満と1000万円以上が同時に厚い分布までは映さないからです。12
400万円は平均より696万円下、中央値より89万円上
中央値にも二つあります。金融資産非保有世帯を含む全世帯なら311万円、金融資産保有世帯だけなら500万円。集計対象を替えるだけで189万円ずれます。1
ここからはモデルケースです。調査と同じ定義の金融資産を400万円持つ、世帯主が30代の二人以上世帯を考えます。財布の中身は1円も動いていない。動くのは比較相手だけです。判定は次の三つに割れます。1
同じ400万円でも、数年後の教育費に使う400万円と、老後まで触らない400万円では意味が違います。統計表には、あなたの使い道も、住宅ローン残高も、毎月の収支も載っていません。だから平均や中央値だけで「勝ち」「負け」を決めることに意味はありません。
- 全世帯平均1096万円との比較:696万円少ない
- 全世帯中央値311万円との比較:89万円多い
- 金融資産保有世帯の中央値500万円との比較:100万円少ない
最後の落とし穴。「金融資産」は口座残高でも純資産でもない
この調査の金融資産には、将来に備えた預貯金、金銭信託、積立型保険、個人年金保険、債券、株式、投資信託、財形貯蓄などが入ります。現金、土地・住宅・貴金属、事業用の金融資産は含みません。預貯金でも、日常的な出し入れや引き落としに備えた部分は除外します。32
つまり「金融資産非保有」は、財布も銀行口座も空という意味ではありません。持ち家の価値も入っていない。住宅ローンなどの負債を差し引いた純資産でもない。「30代の貯金」と雑に読み替えた瞬間、別の数字へ変質します。2
調査は2025年6月20日から7月2日にインターネットモニター方式で行われました。二人以上世帯は5000世帯で、30代の分類別集計は648世帯です。単身世帯には、この1096万円と311万円をそのまま使えません。この数字は材料です。あなたの合格点ではありません。31
平均を閉じろ。今夜、家計で見るのはこの三つだ
ここからは統計の事実ではなく、僕の提案です。残念なのは1000万円に届かないことではない。誰かの平均を見て、自分の家計に勝手な赤点をつけることです。
他人の平均は、あなたの家計の成績表ではありません。今夜見るべきは1096万円ではなく、1年前から資産が増えたか減ったか。その理由を、自分の数字で確かめてください。
- J-FLECと同じ定義にそろえ、今日の金融資産を概算する
- 12カ月前の残高と比べ、増減額を出す
- 住宅ローンなどの負債残高と、今後1年の大きな支出を並べる