保険証券では、毎年などに支払う「保険料」と、補償の基準となる「保険金額」も異なります。ここで扱う2400万円は、建物について設定した火災保険金額の例です。家の修理費や建て直し費用の見積額を、この数字と同じと仮定するものではありません。13
地震が原因なら、火災でも使う補償が変わる
財務省の地震保険制度の概要では、地震を原因とする火災や、地震によって延焼・拡大した損害は火災保険で補償されないとされています。自宅からの出火かどうかだけでなく、損害の原因が地震かどうかが補償を分けます。1
その損害に備える地震保険は、火災保険に付けて契約する保険です。対象は居住用の建物と家財で、地震・噴火やそれらによる津波を原因とする火災、損壊、埋没、流失を扱います。火災保険の建物欄に金額があっても、地震保険を契約したことにはなりません。12
日本損害保険協会は、建物と家財はそれぞれで契約すると説明しています。建物だけに地震保険を付けている場合、家の中の家具や生活用の家電まで同じ保険金額で補償されると考えないことが大切です。証券では家財の地震保険欄にも契約と金額があるかを見ます。3
建物2400万円に付ける地震保険は720万〜1200万円
地震保険金額は、火災保険金額の30〜50%の範囲で設定します。上限は建物5000万円、家財1000万円です。今回の建物2400万円なら、2400万円×30%=720万円、2400万円×50%=1200万円。これはMoney Now編集部の試算で、加入すれば自動的に1200万円になるという意味ではありません。12
比較するのは、同じ建物に地震保険を付けない場合と、1200万円を付けた場合です。未付帯なら地震保険からの支払いはありません。付帯している場合は、さらに損害の認定区分によって次のように金額が変わります。火災保険の費用保険金や上乗せ特約は、この比較には含めていません。15
1200万円に掛ける割合は、全損100%、大半損60%、小半損30%、一部損5%です。計算結果は順に1200万円、720万円、360万円、60万円となります。2016年以前始期の契約は全損・半損・一部損の3区分で、半損は50%でした。使う割合は被災年だけではなく、対象となる地震保険契約の始期で確かめます。1
いずれにも時価による限度があります。全損は時価額まで、大半損は時価額の60%、小半損は30%、一部損は5%までです。したがって図の金額は、時価が設定額以上である条件付きの試算です。時価が設定額を下回れば、そのままの金額は使えません。12
受取額を左右する認定区分は、修理見積もりと別
差を生むのは、火災保険の金額に地震保険の設定割合を掛け、さらに認定区分の支払割合を掛ける仕組みです。火災保険の建物2400万円を、そのまま地震後に使える資金とは読めません。12
さらに、「一部損だから修理費の5%が出る」という計算でもありません。損害保険料率算出機構の認定基準では、建物は主要構造部の損害などで区分が決まり、区分に応じた割合を地震保険金額に掛けます。部屋の見た目や修理業者の見積総額だけで、受取額は確定しません。2
例えば建物の全損には、主要構造部の損害額が建物時価の50%以上、または焼失・流失部分の床面積が延床面積の70%以上という基準があります。家が完全に消失した場合だけを指す言葉ではありません。一方、損害が一部損に達しない場合や、門・塀だけの損害などは支払いの対象外です。4
建物と家財は損害の認定も別です。家財には家財全体の時価に対する損害割合を使う基準があり、建物の認定がそのまま家財に当てはまるわけではありません。建物の地震保険1200万円と家財の地震保険金額を最初から一つに合算し、同じ割合を掛ける読み方は避けたいところです。2
この仕組みから分かるのは、修理・再建費用と保険金を別々に見積もる必要があることです。工事の見積額がまだない段階で「必ず1200万円不足する」とは計算できません。必要な工事費と、認定区分・時価を反映した受取額が分かって初めて、貯蓄などから充てる金額を検討できます。12
地震火災費用保険金がある契約は、支払条件を分けて読む
ただし、地震保険がないからといって、契約から支払われるお金が必ずゼロとは限りません。火災保険に地震火災費用保険金があれば、地震による火災で建物が半焼以上となるなどの条件で、費用に対する保険金が支払われる場合があります。5
日本損害保険協会の費用保険金の説明には、火災保険金額の5%、1事故300万円限度などの例があります。この条件が自分の建物契約にもあると仮定すれば、2400万円×5%=120万円です。ただし、これは商品の支払条件を満たす場合の費用保険金の例であり、地震保険1200万円と同じ補償ではありません。5
確認するのは特約名だけでなく、地震によるどの損害を対象とし、どの程度の焼損で支払いが生じ、上限がいくらかです。費用保険金があることを理由に、揺れによる倒壊まで同額で補償されるとは読めません。個別の約款に上乗せの補償がある場合も、基本の地震保険金額とは分けて確認します。5
Money Now編集部の見方:証券の建物と家財を別々に点検する
Money Now編集部は、更新時に優先すべきなのは火災保険の大きな金額を眺めることより、地震後に取り出せる資金を建物・家財ごとに書き出すことだと考えます。地震保険の設定額と支払条件を先に確かめれば、貯蓄から住まいの再建に回すお金と、当面の暮らしに残すお金を分けて考えられます。13
最初の行動は、保険証券または契約内容の画面で、地震保険の有無と建物・家財それぞれの保険金額を確認することです。続けて契約始期、満期日、費用保険金や特約を控え、分からない欄を契約先の保険会社・代理店に尋ねましょう。36
日本損害保険協会の途中付帯の案内のとおり、火災保険の保険期間中からでも地震保険を契約できます。更新まで待つことが必須ではなく、全世帯共通の駆け込み期限もありません。付帯を考える場合は、いつから補償が有効になるかと引受条件を契約先に確認してください。6
法律上の警戒宣言が発せられた対象地域では、新規契約や増額が制限される規定もあります。地震の発生時期を予測して加入日を決めるのではなく、相談時点の引受制限の有無まで確かめることが、証券の確認を実際の備えへつなげます。7






