ランキングに使うのは売上高営業利益率です。売上高から売上原価と販売費・一般管理費を差し引いた「本業の利益」が、売上の何%残ったかを示します。計算式は「営業利益÷売上高×100」。100円売ったときに何円残るか、と考えると分かりやすいでしょう。5
【11業界ランキング】利益率が最も高い業界は?
経済産業省は2026年6月29日、2025年企業活動基本調査確報(2024年度実績)を公表しました。第1巻第1表の売上高と営業利益から、主な業界の営業利益率を計算した結果が次の表です。21
| 順位 | 営業利益率 | 業界 |
|---|---|---|
| 1位 | 約24.7% | 鉱業・採石業・砂利採取業 |
| 2位 | 約9.3% | 生活関連サービス業・娯楽業 |
| 3位 | 約8.9% | 情報通信業 |
| 4位 | 約8.5% | クレジットカード業・割賦金融業 |
| 5位 | 約7.9% | サービス業(その他のサービス業を除く) |
| 6位 | 約5.7% | 物品賃貸業 |
| 7位 | 約5.7% | 製造業 |
| 8位 | 約4.7% | 電気・ガス業 |
| 9位 | 約4.4% | 飲食サービス業 |
| 10位 | 約4.2% | 小売業 |
| 11位 | 約3.1% | 卸売業 |
ランキング上位には、鉱業・採石業・砂利採取業、生活関連サービス業・娯楽業、情報通信業が並びました。下位には飲食サービス業、小売業、卸売業が並びます。とくに、生活関連サービス業・娯楽業が情報通信業をわずかに上回った点が目を引きます。1
同じ売上でも、残る利益はこれだけ違う
割合を金額に置き換えると、差が見えやすくなります。売上100万円当たりの営業利益は、鉱業で約24.7万円、卸売業で約3.1万円です。これは税金や営業外損益を差し引く前の、本業の利益です。15
情報通信業と卸売業では、同じ売上でも営業利益に約5.8万円の差が出ます。利益率は、会社の規模ではなく「売上を利益へ変える力」を比べる数字だと分かります。1
利益率が高い業界に共通しやすい3つの条件
業界の差を読むときに重要なのは、売上の大きさではなく、売上が増えたときに原価、人件費、設備費がどのペースで増えるかです。利益率が高くなりやすい仕組みは、次の3点に整理できます。
- 売上が増えても、仕入れや材料費が同じ割合では増えにくい
- 一度つくった商品や仕組みを、多くの顧客へ提供できる
- 価格競争を避けやすく、継続的な収入をつくりやすい
スーパーが100円の商品を1万個追加で売るには、原則として商品も1万個仕入れなければなりません。飲食店も来店客が増えれば食材と人手が必要になり、満席が続けば新しい店舗や厨房への投資が発生します。売上の増加にコストが連動しやすい構造です。
一方、月額制のソフトウェアでは、利用者が100人から1万人になっても、同じ機能を100回作り直す必要はありません。サーバー、販売、顧客対応、セキュリティーの費用は増えますが、売上と同じ割合で増えるとは限らないため、最初の開発費を多くの顧客へ広げられます。
つまり、注目したいのは「もう1件売るために、いくら追加でかかるか」です。追加コストが売上より緩やかに増える事業ほど、売上の伸びを営業利益へつなげやすくなります。
情報通信と小売・卸売、差はどこでつく?
情報通信業の営業利益率は8.9%でした。この区分にはソフトウェアだけでなく、情報処理・提供サービス、インターネット附随サービスなど複数の業種が含まれます。デジタルサービスでは、一度つくった仕組みを多くの顧客へ提供できるため、顧客数の伸びを利益へつなげやすくなります。1
小売業と卸売業では、商品を仕入れて販売するため、売上高が大きくなるほど仕入高も大きくなりやすくなります。売上高の規模だけでなく、売上のうちどれだけが営業利益として残るかを見ると、情報通信業との違いがはっきりします。1
飲食サービス業では、一つの店舗の席数や厨房能力に上限があります。売上をさらに伸ばすには、回転率を上げる、営業時間を延ばす、新店舗を出すといった対応が必要です。新店舗には物件、設備、食材、人材が要るため、売上が増える局面でコストも段階的に増えます。1
編集部の見方:業界平均→同業他社→コストの順に見る
このランキングを企業分析へ使うなら、順位だけで終わらせず、次の3段階で見るのが実用的です。
- 業界平均を見て、利益率が高く出やすい業界か低く出やすい業界かをつかむ
- 個別企業の営業利益率を、同じ業界の競合企業と比べる
- 売上の伸びとともに、仕入れ、人件費、広告、店舗、設備、開発費がどう動いたかを見る
経済産業省の企業活動基本調査の概要で対象と定義を確認したうえで、個別企業では有価証券報告書や決算資料の売上高、営業利益、費用の内訳へ進みます。同業他社より利益率が高く、その差を支える商品、価格、継続収入、コスト構造を説明できるか。ここまで見て初めて、業界平均とその会社固有の強さを分けて読めます。3
Money Now編集部は、このランキングを個別企業の強さを探す出発点と考えます。100円売ったときに何円残るのか。同業他社より高いのか。売上が増えたとき、コストはどこまで増えたのか。この順に見ると、売上高だけでは分からない「利益を残す仕組み」が見えてきます。






