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50年住宅ローン、借りにくくなる? 金融庁が審査実態の監視強化へ

金融庁が50年などの超長期住宅ローンへの監視を強めます。35年と50年で返済額はどう変わるのか、審査への影響とあわせて確認します。

住宅と50年の文字、虫眼鏡を組み合わせた住宅ローン監視強化の記事イメージ

住宅価格の高騰を背景に広がっている50年住宅ローン。金融庁が、こうした従来より長い住宅ローンについて、利用者の収入見込みなどに照らして適切なローンが組まれているかを注意深く見る方針です。では、何が変わるのか。数字を見ながら確認してみましょう。

金融庁は9月15日、2026事務年度の金融行政方針を公表しました。金利上昇に伴って金融機関の行動が変わる中、預金獲得競争や貸し出しの変化を重点的にモニタリングします。行政方針では、預金取扱金融機関で「従前とは異なる条件を含む住宅ローン商品の組成」がみられることにも触れています。1

Bloombergは、その対象として50年といった長期住宅ローンを挙げ、利用者の収入見込みなどに照らして適切なローンが組まれているかを金融庁が確認すると報じています。すぐに50年ローンを禁止する話ではありません。ただ、「期間を延ばせば希望額まで貸せる」という融資が本当に適切なのか、銀行側の審査実態がこれまで以上に見られることになります。41

50年ローンは、すでに珍しい商品ではない

まず、金融機関側の動きを見てみましょう。住宅金融支援機構の2025年度「住宅ローン貸出動向調査」では、変動型住宅ローンの最長返済期間を「50年」とする金融機関が57.5%に達しました。2024年度は33.8%だったため、1年で大きく増えています。固定期間選択型でも50年が55.2%で最も多くなりました。2

変動型住宅ローンで最長50年とする金融機関が2024年度33.8%から2025年度57.5%へ増えたことを示す棒グラフ
変動型住宅ローンの最長返済期間。住宅金融支援機構「2025年度 住宅ローン貸出動向調査」よりMoney Now編集部作成。2

実際に長く借りる人も増えています。2026年1月の利用者調査では、返済期間が40年を超える人は5.5%、35年超〜40年以内は17.9%でした。合わせると、35年を超えて返済する人は2割を超えています。3

住宅価格が上がり、35年では毎月の返済額が収まらない。そこで40年、50年へ延ばす。そんな住宅購入が、もう一部の特殊なケースではなくなりつつあります。

50年にすると、毎月の返済はいくら下がる?

では、返済期間を延ばすとどれくらい楽になるのでしょうか。6,000万円を金利1.5%、元利均等返済、ボーナス返済なしで借りるケースを見てみましょう。

6000万円を金利1.5%で借りた場合の35年返済と50年返済の月返済額と利息総額を比較する図
Money Now編集部試算。金利1.5%が全期間一定と仮定。
6,000万円・金利1.5%・元利均等返済・ボーナス返済なし。Money Now編集部試算。
35年返済50年返済
毎月返済額約18.4万円約14.2万円
支払利息総額約1,716万円約2,532万円

50年にすると、毎月の返済額は約4万2,000円下がります。35年では月18万円を超える住宅でも、50年なら14万円台です。「これなら払えそう」と感じる差でしょう。

一方、支払利息は約816万円増えます。ここで押さえておきたいのは、50年ローンにしても住宅そのものが安くなるわけではないということです。高い住宅でも買えるように、返済をより長い期間へ分散する仕組みです。

金融庁が見ているのは「本当に返せるか」

今回のニュースで重要なのは、50年という年数そのものより、長く延ばすことで借入額を増やす審査が本当に適切なのかという点です。Bloombergは、金融庁が利用者の収入見込みなどを踏まえて適切なローンが組まれているかを確認すると報じています。4

住宅ローンは期間を35年から50年へ延ばせば、同じ借入額でも毎月の返済額を小さくできます。毎月の返済額が下がれば、同じ年収でもより高い物件まで手が届きやすくなります。

ただ、50年ローンを30歳で組めば、完済時は80歳です。今の収入で月々の返済ができるかだけでは足りません。退職後まで返済が残ったときにどうするのか、変動金利なら金利が上がったときにも返せるのか。長期で見るほど確認すべきことは増えます。

「35年では買えないけれど、50年なら買える」は要注意

住宅を探していると、どうしても「月々いくらなら払えるか」で考えたくなります。35年なら月18万円、50年なら月14万円。月4万円違えば、50年を選びたくなるのは自然です。

ただ、ここで一度見ておきたいのは、35年では返済が厳しい住宅を、返済期間を15年延ばしてまで買う必要があるのかという点です。住宅価格が上がっても、家計の収入が同じペースで増えるわけではありません。期間を延ばせば月々の数字は小さくできますが、借りる元本そのものは減りません。

50年ローンが急速に広がっていることは、住宅価格と家計の購買力のギャップを、返済期間の長期化で埋めるケースが増えていることの表れでもあります。今回、金融庁がここを見始めた意味は小さくありません。21

50年ローンは、これから借りにくくなる?

現時点で、全国の銀行が一斉に50年ローンの審査基準を厳しくすると決まったわけではありません。今回示されたのは新しい一律規制ではなく、金融庁のモニタリング方針です。1

それでも、金融庁が超長期ローンの実態を見る以上、銀行側は「なぜこの利用者にこの金額を50年で貸すのか」をこれまで以上に説明できるようにする必要があります。特に「35年では希望額に届かないが、50年なら届く」というケースほど、将来の収入や返済能力を慎重に見られる可能性があります。4

つまり、50年ローンそのものが消えるというより、「期間を延ばせばとりあえず希望額まで貸せる」という考え方が通りにくくなる方向です。

「いくら借りられるか」より「いくらなら返せるか」を見てみよう

住宅ローンの商品設計を変えれば、「借りられる金額」は増やせます。50年に延ばせば月々の返済額も下げられます。ただ、自分の収入が増えるわけではありません。住宅価格が安くなるわけでもありません。

だからこそ、35年では買えないけれど50年なら買える住宅を検討している場合は、一度立ち止まって数字を見てみましょう。銀行がいくら貸してくれるかではなく、金利が上がった場合や退職後まで含めて、自分はいくらなら無理なく返し続けられるのか。ここを基準にすることが大切です。

今回の金融庁の監視強化は、急速に広がってきた50年住宅ローン市場が、いよいよ「本当に長期間返せるのか」という問いと向き合い始めた動きだと考えられます。14

一次情報・参考資料

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    一次情報 · 住宅金融支援機構

    2025年度 住宅ローン貸出動向調査結果
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