介護保険のお金には、加入者が納める「保険料」、サービス利用時の「1〜3割負担」、施設の食費・居住費を軽減する「補足給付」があります。預貯金の話が出てきたとき、この三つを一緒にすると、自分の保険料がすぐ資産連動になるように見えてしまいます。まずは現在の基準額と、実際に払う額が決まる順番を分けて確認します。34
65歳以上の基準額は月6225円、制度開始時の2.14倍
厚生労働省の第9期介護保険料集計によると、2024〜2026年度の65歳以上の第1号保険料基準額は、月6225円の全国加重平均です。前の第8期は6014円で、第9期は3.5%上がりました。12
制度開始時の第1期は月2911円でした。月額差は6225円−2911円=3314円、単純年額では3314円×12カ月=3万9768円です。倍率は6225円÷2911円=約2.14倍。年金からの天引き額を家計簿へ入れるなら、月額だけでなく1年分へ直すと負担の大きさを捉えやすくなります。2
全国平均でも同じ額ではない 小笠原村3374円、大阪市9249円
厚生労働省の保険者別一覧では、第9期の低額保険者として東京都小笠原村の月3374円、高額保険者として大阪市の月9249円が示されています。両者の差は月5875円、単純年額では7万500円です。大阪市と全国平均だけを比べても、9249円−6225円=3024円、1年では3万6288円の差になります。2
基準額が月5501〜6000円の保険者は511、6001〜6500円は403で、この二つの階級だけで全1573保険者の58.1%を占めます。同じ都道府県内でも保険者ごとに異なるため、確認する数字は都道府県平均ではなく市区町村の基準額です。2
保険料の差を生むのは、地域の給付見込みと個人の所得段階
65歳以上の第1号保険料は、市区町村が3年ごとの介護保険事業計画で、介護サービス量や給付費の見込みなどを基に基準額を設定します。その基準額へ本人や世帯の市町村民税課税状況、所得などに応じた倍率を掛けるため、同じ市区町村でも全員が基準額と同じ金額を払うわけではありません。26
厚生労働省の介護保険制度概要では、65歳以上の保険料は市町村が徴収し、原則として年金から天引きすると整理されています。一方、介護サービスを使ったときの自己負担は原則1割で、一定以上の所得がある65歳以上は2割または3割です。保険料とサービス利用時の負担割合は、別の仕組みです。3
| 項目 | 現在の主な判定軸 | 預貯金との関係 |
|---|---|---|
| 65歳以上の保険料 | 市区町村の基準額と所得段階 | 預金残高だけで全員の保険料を決める制度ではない |
| サービス利用時の1〜3割負担 | 本人の合計所得金額、年金収入など | 2割対象拡大時の配慮案として議論が続く |
| 施設の食費・居住費を軽減する補足給付 | 世帯課税、所得、預貯金など | 現在も申請時に預貯金等を確認 |
厚生労働省は、制度開始から25年で介護サービス利用者が3.5倍を超え、2025年度予算ベースの介護費用総額が14.3兆円になったとしています。給付の見込みや高齢者数が地域で違えば、必要な保険料にも差が出ます。個人の負担を左右するのは、全国平均より地域の基準額と所得段階です。6
預貯金の確認は全員の保険料算定ではない
2026年の検討資料で具体的に扱われているのは、主に低所得者の施設サービスの食費・居住費を軽減する「補足給付」です。2023年度末の認定者は87.4万人。申請を受けた市区町村が世帯状況、所得、預貯金額を確認し、必要に応じて金融機関へ照会します。預貯金確認は、すでにこの限定された給付で行われています。4
厚生労働省の検討会一覧では、2026年5月27日、6月30日、7月29日の3回が確認できます。第3回の議題は自治体アンケート結果の取りまとめに向けた意見交換で、結果資料は非公表です。現時点で、預貯金を65歳以上全員の保険料へ反映する新ルールは決まっていません。54
Money Now編集部の見方:全国平均より自分の通知書を見る
Money Now編集部は、月6225円を老後家計の目安には使えても、自分の支払額の答えにはできないと考えます。介護保険料は地域の基準額と所得段階の二段階で決まり、預貯金確認は現在、別の補足給付で具体化しているからです。全国平均の上昇だけを見て不安を膨らませるより、通知書の年額と所得段階を確認する方が、家計への影響を正確に把握できます。24
- 市区町村から届いた介護保険料決定通知書で、年額、所得段階、徴収方法を確認する
- 厚生労働省の第9期保険料一覧から自分の保険者の基準額を探し、全国平均との差だけでなく前期からの変化を見る
- 施設利用を考える家族は、保険料とは別に、利用者負担割合証と補足給付の対象条件を市区町村へ確認する
次に注視するのは、2027年度から始まる第10期へ向けた基準額と、2割負担の範囲・預貯金確認について国がどの案を正式に決めるかです。通知書と公表資料を同じ年・同じ制度で照合することが、変化を見誤らない最初の一歩になります。65













