「贈与税0円」と「名義移転0円」は別
国税庁「No.4452 夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除」では、一定の要件を満たすと、基礎控除110万円に加えて最高2000万円を控除できます。一方、登録免許税と不動産取得税には、この贈与税の配偶者控除をそのまま当てはめることはできません。167
| 項目 | 軽減ありの例 | 取得税の軽減なし |
|---|---|---|
| 贈与税 | 0円 | 0円 |
| 登録免許税 | 40万円 | 40万円 |
| 不動産取得税 | 0円 | 42万円 |
| 税負担の合計 | 40万円 | 82万円 |
| 別途 | 証明書実費+専門家報酬 | 証明書実費+専門家報酬 |
ここでいう2000万円は二つの評価を同額と置いた比較用の仮定です。贈与税では土地を路線価方式または倍率方式、家屋を原則として固定資産税評価額×1.0で評価します。登録免許税と不動産取得税は、原則として固定資産課税台帳の価格を基礎にします。売買価格や固定資産税の納税額を、そのまま代入しないでください。567
2000万円控除を使えるのは、婚姻20年を過ぎてから
- 婚姻届を出した日から贈与日までの期間が20年を過ぎている
- 同じ配偶者から、過去にこの配偶者控除を受けていない
- 国内の居住用不動産、またはその取得資金の贈与である
- 贈与を受けた翌年3月15日までにその家へ実際に住み、その後も住み続ける見込みがある
- 控除で税額が0円でも、必要書類を添えて贈与税を申告する
モデルの贈与税評価額2000万円なら、「2000万円−配偶者控除2000万円−基礎控除110万円」で課税価格は0円です。比較のため控除を使わない一般贈与で計算すると、「2000万円−110万円=1890万円」に一般税率50%と控除額250万円を使い、贈与税は695万円です。配偶者控除の効果は大きい一方、名義移転の別税までは消しません。13
登録免許税は40万円:固定資産税評価額×2%
法務省の登録免許税計算資料では、贈与による所有権移転の税率は1000分の20です。このモデルは土地1200万円+家屋800万円=2000万円なので、「2000万円×2%=40万円」。課税標準は1000円未満を切り捨て、税額は100円未満を切り捨て、計算した税額が1000円未満なら1000円です。6
贈与するのが2分の1持分なら、原則として移す持分に対応する評価額で計算します。登記事項証明書で現在の持分と抵当権を確認し、住宅ローンが残る場合は、贈与を決める前に金融機関と司法書士へ契約上の扱いを確認してください。6
不動産取得税は東京都モデルで0万〜42万円
東京都主税局の不動産取得税案内では、贈与も課税対象です。2027年3月31日までに取得した土地と住宅用家屋の税率は3%で、宅地等の土地は価格を2分の1にする特例があります。軽減なしなら、土地は「1200万円×1/2×3%=18万円」、家屋は「800万円×3%=24万円」、合計42万円です。7
一方、2000年建築、床面積80平方メートル、自己居住、耐震要件を満たす既存住宅と仮定すると、家屋は価格800万円から最大1200万円を控除できるため0円。土地は初期税額18万円に対し、床面積の2倍を使う軽減計算が19万2000円となるため、このモデルでは0円です。建築年、床面積、耐震、取得日、持分、居住状況、土地面積で結果は変わります。97
東京都の不動産取得税計算ツールでは、所在地、取得日、固定資産税評価額、持分、床面積、建築日を入れて概算できます。他県なら所在地の都道府県税事務所の制度と様式を確認してください。87
相続まで待つモデルは移転税8万円、ただし相続税は別判定
同じ固定資産税評価額2000万円を相続で移す単純モデルなら、登録免許税率は1000分の4なので8万円。不動産取得税は相続による取得なら原則非課税です。贈与モデルとの差は、取得税軽減ありなら32万円、軽減なしなら74万円です。ただし、これは移転時の登録免許税・不動産取得税だけの比較で、相続税は相続財産全体から計算します。67
国税庁「配偶者の税額の軽減」では、配偶者が実際に取得した正味の遺産額が1億6000万円または法定相続分相当額のいずれか多い額までなら、配偶者に相続税はかかりません。申告期限までの遺産分割や申告など条件があるため、「相続なら常に無料」とは言えません。10
贈与者が死亡した場合の相続税への加算では、贈与税の配偶者控除に相当する部分は、一定の条件で課税価格へ加算しない扱いです。贈与年に死亡した場合も、除外を受けるには申告が必要です。また、将来売却する際は、原則として贈与者の取得費と取得時期を引き継ぎます。贈与時の税だけでなく、取得費資料と売却予定も比較材料です。21112
贈与日を決める前に、翌年3月15日から逆算
戸籍謄本または抄本と戸籍の附票の写しは、贈与日から10日を経過した日以後に作成されたものを用意します。居住用不動産の登記事項証明書など、取得を証明する書類も必要です。贈与税の申告と納付は、原則として贈与を受けた翌年2月1日から3月15日までです。配偶者控除は税額が0円でも申告を省略できません。14
- 戸籍上の婚姻日と過去の配偶者控除利用歴を確認する
- 登記事項証明書、固定資産税評価額、土地・建物の贈与持分をそろえる
- 住宅ローン残高、抵当権、金融機関の契約条件を確認する
- 贈与後の居住開始日と継続見込み、将来の売却予定を言葉にする
- 相続財産全体もそろえ、贈与時総額と相続時総額を同じ前提で見積もる
国税庁の贈与税の申告案内で贈与年の申告期間を確認したうえで、登記前に税務署または税理士へ税額を、司法書士へ登記と抵当権の扱いを相談してください。控除を使えることと、今贈与することが家計に有利かは別の判断です。416
まとめ:控除額ではなく「移す持分の総コスト」で決める
婚姻20年超の配偶者控除は、最高2000万円と基礎控除110万円を使える大きな制度です。しかし、自宅2000万円の東京都モデルでも、登録免許税40万円と不動産取得税0万〜42万円が残り、税負担は40万〜82万円。証明書実費と専門家報酬は別です。相続まで待つモデルの移転税8万円、配偶者の相続税額軽減、相続財産全体、将来売却の取得費まで同じ紙に並べてから、名義を動かしましょう。1671012












