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【貯蓄800万円】中央値は1167万円?720万円?同じ2025年でも447万円違う理由、見るべき統計はどっち

二人以上世帯の貯蓄中央値が総務省1167万円、J-FLEC 720万円と447万円違う理由を、預貯金の定義、調査対象、調査方法、資産構成から整理。貯蓄800万円の家計で比較方法を試算します。

買い物後に店先で財布の中を確認する40代の女性

買い物を終え、財布を閉じたあとで銀行アプリを開く。家族の預貯金と投資を合わせると800万円です。ところが2025年の二人以上世帯を調べると、中央値は総務省で1167万円、J-FLECで720万円。同じ年、同じ『二人以上世帯』なのに447万円も違います。800万円なら中央値より少ないのでしょうか、それとも多いのでしょうか。結論は、どちらの数字も公表値として正しい一方、数えているお金と調べ方が同じではないため、そのまま優劣を決められない、です。この記事では平均値、中央値、資産の内訳を一次資料から照合し、自分の残高をどちらへ合わせるかを具体的に整理します。

結論:貯蓄800万円は、どちらの中央値と比べるかで位置が変わる

総務省統計局の2025年結果では、二人以上世帯の貯蓄現在高は平均2059万円です。貯蓄0円を含む中央値は1167万円、0円を除いた貯蓄保有世帯の中央値は1264万円でした。一方、J-FLECの二人以上世帯調査では、金融資産保有額の平均は1940万円、中央値は720万円です。13

2025年・二人以上世帯の代表値。金額の定義と調査方法が異なるため、横並びは差を知るための参考比較です。
調査平均中央値主な注意点
総務省 家計調査2059万円1167万円(0円含む)二人以上世帯。日常資金を含む預貯金を貯蓄へ計上
J-FLEC 世論調査1940万円720万円世帯主20〜79歳。日常的な出し入れ・引落し用預貯金を除外
134
総務省は平均2059万円・中央値1167万円、J-FLECは平均1940万円・中央値720万円で、平均差119万円に対し中央値差447万円と示す図
出所:総務省統計局、J-FLECの2025年結果をもとにMoney Now編集部作成。異なる定義・調査方法の参考比較13

中央値だけを算術的に比べると、1167万円-720万円=447万円。総務省の中央値はJ-FLECより約62.1%高い計算です。貯蓄800万円は、総務省の中央値1167万円より367万円少なく、J-FLECの中央値720万円より80万円多くなります。ただし、この上下だけで家計の安全度は判定できません。先に自分の800万円を、各調査と同じ範囲へそろえる必要があります。13

総務省の2059万円・1167万円は、何を数えている?

総務省の家計調査では、貯蓄現在高を郵便貯金、普通銀行などへの預貯金、生命保険など、有価証券、社内預金など金融機関外への貯蓄に分けています。2025年平均の内訳は、通貨性預貯金710万円、定期性預貯金511万円、生命保険など369万円、有価証券440万円、金融機関外29万円です。通貨性預貯金と定期性預貯金を合わせると1221万円になります。1

ここで大切なのは、普通預金を『生活費用』『将来用』と目的で切り分けない点です。給与の振込口座に翌月の家賃やカード代を残していても、調査時点の預貯金残高として集計範囲に入ります。総務省の数字と比べたいなら、財布の現金や住宅の時価ではなく、預貯金、積立型保険、有価証券など、家計調査が対象とする残高を同じ時点で合計します。12

平均2059万円は、貯蓄0円の世帯も含む1世帯当たり平均です。分布は少ない階級へ偏り、平均2059万円を下回る世帯が66.1%あります。『平均より少ない=少数派』ではありません。中央値を見る場合も、0円を除く1264万円と、0円を含む参考値1167万円を混同しないことが必要です。J-FLECの720万円と比較するこの記事では、非保有を0円として含むJ-FLECの集計に近づけるため、総務省も0円を含む1167万円を使っています。13

J-FLECの1940万円・720万円は、日常資金を外している

J-FLECは、定期性預金か普通預金かにかかわらず、『運用のため、または将来に備えて蓄えている部分』を金融資産へ含めます。一方、預貯金のうち日常的な出し入れ・引落しに備える部分、現金、土地・住宅・貴金属、事業用の金融資産は除きます。普通預金100万円のうち30万円を翌月までの生活費と考えるなら、その30万円はJ-FLEC型の自己集計から外す、という整理です。35

調査方法も違います。J-FLECの2025年調査のポイントによると、二人以上世帯は世帯主が20歳以上80歳未満、世帯員2人以上の5000世帯です。2025年6月20日から7月2日まで、インターネットモニター調査で実施されました。総務省の家計調査と同じ世帯を追った結果ではありません。43

J-FLECの平均1940万円と中央値720万円も、平均が一部の高額保有世帯に引き上げられることを示します。2025年の金額回答では金融資産非保有を0万円とみなす784世帯があり、平均値だけを『普通の家計』と読むことはできません。中央値は720万円ですが、これも住宅ローンなどの負債を差し引いた純資産ではなく、将来用の金融資産の中央位置です。3

平均差は119万円なのに、中央値差が447万円になる理由

平均は総務省2059万円、J-FLEC 1940万円で、単純差は119万円、J-FLECを基準に約6.1%です。中央値の差447万円より小さいため、『平均総額が近いなら定義も近い』と考えたくなります。しかし、内訳を見ると景色が変わります。13

1世帯当たり平均の内訳。分類・対象・回答方法が異なるため、構成差を知る参考比較です。
項目総務省J-FLEC単純差
預貯金1221万円745万円総務省が476万円多い
保険369万円364万円総務省が5万円多い
有価証券440万円727万円J-FLECが287万円多い
金融機関外/その他29万円102万円J-FLECが73万円多い
136
総務省は預貯金1221万円・有価証券440万円、J-FLECは預貯金745万円・有価証券727万円で、総額が近くても内訳が異なると示す図
出所:総務省統計局、J-FLEC、J-FLEC訂正資料をもとにMoney Now編集部作成。各内訳は万円未満の丸めなどにより合計と一致しない場合があります136

預貯金平均は総務省が476万円多く、有価証券平均は逆にJ-FLECが287万円多い状態です。J-FLECが日常用預貯金を除くことは預貯金差の方向と整合しますが、476万円すべてを定義差だけで説明することはできません。対象年齢、標本設計、回答方法、各世帯の資産構成も異なるからです。有価証券727万円は2026年1月21日の訂正で755万円から修正されました。訂正後資料を使わずに比較すると、差を28万円大きく見積もってしまいます。136

つまり、総務省では大きい預貯金、J-FLECでは大きい有価証券などが平均総額の中で一部相殺されています。平均総額が119万円差だからといって、中央値も近くなるとは限りません。中央値は各世帯を金額順に並べた中央であり、平均の内訳を足し引きして720万円や1167万円を再現することはできません。ここは『内訳の相殺が平均総額を近づける一因になり得る』までが確認できる範囲です。136

貯蓄800万円の家計を、二つの定義へ置き換える

ここからはMoney Nowの条件付き試算です。ある二人以上世帯が、預貯金600万円と有価証券200万円、合計800万円を持つとします。負債、現金、住宅はこの800万円へ含めません。総務省型では、預貯金600万円と有価証券200万円を合わせて800万円です。J-FLEC型では、預貯金600万円のうち、日常的な出し入れ・引落し用と考える額を差し引きます。135

同じ800万円をJ-FLEC型へ置き換えるMoney Now試算
日常用と考える預貯金総務省型J-FLEC型J-FLEC中央値720万円との差
0万円800万円800万円+80万円
150万円800万円650万円−70万円
300万円800万円500万円−220万円
35
預貯金600万円と有価証券200万円の家計で、日常用資金0万円ならJ-FLEC型800万円、150万円なら650万円、300万円なら500万円になる試算図
Money Now編集部試算。J-FLECの定義に合わせ、預貯金から日常的な出し入れ・引落し用とする額だけを差し引いた単純モデル35

日常用資金を0万円とすればJ-FLEC型も800万円で中央値を80万円上回ります。150万円なら650万円となり中央値を70万円下回り、300万円なら500万円で220万円下回ります。同じ口座残高でも、目的の分け方によって比較結果が反転します。これは統計上の位置を確認するための試算であり、日常資金を少なく見積もって中央値を上回るための操作ではありません。3

また、800万円が十分かどうかは、この試算だけでは決まりません。家族構成、年齢、毎月の収支、住宅ローン、教育費、近い将来の支出が入っていないからです。中央値は合否ラインではなく、同じ定義で並べたときの中央位置です。中央値を上回っていても大きな支出が迫っている世帯はあり、下回っていても負債が少なく収支が黒字の世帯はあります。

比較前にすること:残高を三つの箱へ分ける

統計を選ぶ前に、自分の家計を同じ日付で棚卸しします。最初の行動は、預貯金、積立型保険、有価証券などの残高を一枚へ書き出すことです。次に預貯金を、日常の引落しに使うお金、数年以内に使う予定のお金、長期で備えるお金へ分けます。口座そのものを分けていなくても、家計上の用途を書くだけで構いません。7

  1. 基準日を一つ決め、すべての口座・保険・有価証券の残高を記録する
  2. 財布の現金、住宅などの実物資産、事業用資産、負債を別欄に置く
  3. 預貯金のうち、日常的な支払いと引落しに備える額を決める
  4. 総務省と比べるときは対象残高を広く合計し、J-FLECと比べるときは日常用預貯金を除く
  5. 平均、中央値、分布、世帯区分を同じ調査内で確認し、負債と将来支出は別に判断する
135

家計の分け方に迷う場合、J-FLECの『はじめてのマネープラン』では、家計管理、生活設計、NISAやiDeCoを含む資産形成について、対面・オンラインの無料体験と無料電話相談を案内しています。個別商品を推奨する場ではありませんが、統計の数字ではなく自分の収支と予定を整理する入口として使えます。10

同じ読者が次に気になること:NISAへ回す前に、使う時期を確認

貯蓄が伸びないと感じると、預貯金から投資へ移せば統計上も家計上も改善するように見えるかもしれません。しかし、J-FLECの平均内訳で有価証券が727万円あることは、個々の世帯が同じ金額を持つべきだという目標ではありません。金融庁の資産形成の基本も、家計の収入と支出を把握し、ライフプランに応じて貯蓄と投資を使い分けることを先に挙げています。株式や投資信託には元本割れのおそれがあります。367

NISAは運用益を非課税にする制度で、つみたて投資枠は年120万円、成長投資枠は年240万円です。金融庁のNISA制度ページで上限を確認できますが、上限まで使う義務はありません。近く使うお金まで投資へ回さず、三つの箱のうち長期で備える部分から、価格変動を受け入れられる額を検討します。毎月の積立額や想定利回りを試すなら、結果を保証しないことが明記された金融庁のつみたてシミュレーターで複数条件を比べられます。879

まとめ:数字を選ぶ前に、自分の残高の定義をそろえる

2025年の二人以上世帯では、総務省の貯蓄現在高は平均2059万円、0円を含む中央値1167万円。J-FLECの金融資産保有額は平均1940万円、中央値720万円でした。中央値の単純差は447万円です。どちらかが誤りなのではなく、日常用預貯金を含むか、対象年齢、標本設計、回答方法などの違いがあります。134

貯蓄800万円なら、総務省型では800万円でも、J-FLEC型では日常用資金を除いて650万円や500万円になる場合があります。まずすべての残高を同じ日付で書き出し、日常資金、近い将来に使うお金、長期で備えるお金へ分けてください。その後で同じ定義の中央値を見ると、『平均より少ない』という曖昧な不安を、家計で確認できる問いへ変えられます。137

  • 総務省1167万円:日常用を含む貯蓄現在高、0円を含む中央値
  • J-FLEC 720万円:日常用預貯金を除く金融資産保有額の中央値
  • 単純差447万円は家計の増減ではなく、異なる調査結果の差
  • 最初の行動:残高を同じ日付で記録し、用途別の三つの箱へ分ける
135

一次情報・参考資料

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4

    一次情報 · 金融経済教育推進機構(J-FLEC)

    家計の金融行動に関する世論調査(2025年)のポイント
  5. 5
  6. 6

    一次情報 · 金融経済教育推進機構(J-FLEC)

    『家計の金融行動に関する世論調査』の訂正について
  7. 7

    一次情報 · 金融庁

    資産形成の基本
  8. 8

    一次情報 · 金融庁

    NISAを知る
  9. 9

    一次情報 · 金融庁

    つみたてシミュレーター
  10. 10

    一次情報 · 金融経済教育推進機構(J-FLEC)

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