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学生の年金、親が払うと年21万5040円。家計に余裕があれば納付、学生納付特例と比べる今の負担と将来の年金

親が実際に払う場合の所得控除は、親の税率と支払年で効果が変わります。特例を使う場合は追納期限と加算開始を確認し、現在の現金支出と将来の年金額を分けて判断します。

居間で無地の書類を手に相談する親と学生のイメージ

20歳の学生の子に届いた国民年金の納付案内。2026年度は月1万7920円で、学費を払う家計には追加の支出です。親が負担すれば所得控除を使える場合がありますが、学生納付特例なら在学中の支払いを猶予できます。今の預金をどこまで残せるか、後から払わなかった場合に年金額がどう変わるかが、選択の分かれ目です。

保険料の案内を前に迷うときは、「誰が払うか」と「いつ払うか」を分けて考えると整理できます。ここで比べるのは、国民年金第1号被保険者である学生の子の保険料を親が実際に負担する場合と、本人が学生納付特例の承認を受ける場合です。123

特例の入口は、親の収入より子の前年所得と在学校

日本年金機構の学生納付特例の対象条件は、本人の前年所得が「128万円+扶養親族等の数×38万円+社会保険料控除等」以下であること。家族の所得の多寡は問いません。アルバイトの給与収入額と、審査に使う所得額は同じ数字として扱わないようにしましょう。2

大学・大学院、短大、高校、専修学校などが対象で、夜間・通信課程も含まれます。ただし各種学校には修業年限などの条件があり、一部の海外大学日本分校は指定課程に限られます。ここからの比較は、子が対象校に在学し、所得要件も満たすモデルです。28

特例は自動で始まるものではありません。申請して承認された期間は、老齢基礎年金の受給資格を得るための期間に入りますが、後から払わなければ年金額を増やす月数には入りません。受給資格と受取額は、別々に判定される仕組みです。2

12か月分の現金支出と、年金に反映される月数を並べる

2026年度の保険料は月1万7920円です。Money Now編集部が12か月分を換算すると、1万7920円×12=21万5040円となります。前納割引・付加保険料を含まないモデルで、年度途中に20歳になる人の初年度負担が必ずこの額になるという意味ではありません。1

同じ12か月を比べた場合。ほかの加入記録は同じとする。
比較する項目親が納付学生納付特例の承認
今の保険料支出21万5040円承認期間中は0円
受給資格期間への算入12か月12か月
老齢基礎年金額への反映12か月分を反映未追納なら反映なし
後から年金額を補う手続きこの12か月について不要期限内の追納が必要
124

では、追納しないままだと年金額にどれほど差が出るのでしょうか。2026年度の老齢基礎年金満額は、昭和31年4月2日以後生まれの人で年84万7300円。納付月数の分母となる480か月に対し、12か月は40分の1です。4

同年度の額での比較差は、84万7300円×12÷480=年2万1182.5円、1円未満を四捨五入すると約2万1183円です。これは子が老後に受け取る額を保証する予測ではなく、現在の年金水準で12か月の意味を示す試算です。ほかの加入履歴を同じとし、繰上げ・繰下げや将来改定は計算に入れていません。24

12か月の納付支出は215040円、特例承認中は0円。未追納の年金年額差は2026年度額で21182.5円という独立試算
Money Now編集部試算。保険料は2026年度の12か月換算。年金差は同年度満額×12/480で、将来の確定額ではありません。124

控除を使えても、納付時に出る現金は減らない

国税庁の社会保険料控除の説明では、自分と生計を一にする親族の保険料を実際に払った人が、その年の支払額を所得から差し引けます。子の保険料でも、親が負担すれば親の控除の対象になります。控除額の全額が、そのまま返金される制度ではありません。3

軽減の大きさを見るため、控除対象の実支払額を21万5040円と置き、2026年の所得税率10%、住民税所得割の標準税率10%で概算します。所得税には復興特別所得税の2.1%を加え、21万5040円×(10%×1.021+10%)=4万3459.584円。1円未満四捨五入で約4万3460円の軽減、差引負担は約17万1580円です。1356

この概算は、控除の全額に同じ税率がかかる課税所得と、軽減額以上の税負担があるケースです。税率の境目、課税所得・税額の端数処理、税額控除や自治体の超過課税は織り込んでいません。所得税率10%は課税所得の区分であり、給与年収の10%という意味ではありません。563

また、年度の12か月換算と、1月から12月までの実支払額は別です。申告では実際に支払った年と金額に置き換えます。税の軽減は年末調整・確定申告や翌年度の住民税などを通じて生じるため、支払う日に約4万3460円を差し引いて納付できるわけではありません。361

この比較で見えるのは、税の軽減があっても、納付時に必要な現金は減らないという点です。特例で手元に残せる資金と、追納によって後から補える年金額を分けると、今の家計を守るために猶予を選ぶ意味がはっきりします。1236

税負担がない親、追納が難しい子では判断が変わる

親に所得税・住民税所得割の負担がなければ、今回の控除による税の軽減は0円です。この条件では、節税を理由に親が急いで負担する優位性はありません。一方、子が将来追納しないなら、その12か月は年金額に反映されないままです。324

日本年金機構の追納制度で対象になるのは、追納が承認された月の前10年以内の期間です。卒業から10年ではありません。承認対象期間の翌年度から数えて3年度目以降には加算があり、2026年度分なら2027年度を1年度目として2029年度から加算対象になります。72

「就職してから考える」場合も、何年度の何月分を、いつ、誰が負担するかを残しておく必要があります。追納した保険料も社会保険料控除の対象です。将来子が実際に払う場合には、その支払年の子の税負担によって軽減効果が変わるため、親の現在の税率で将来分まで節税額を決めつけることはできません。73

もう一つ分けたいのは、承認済みの特例と未申請の未納です。特例の承認期間は障害・遺族基礎年金の保険料納付要件の対象期間になりますが、申請を遅らせると、申請前の病気や事故について障害基礎年金を受け取れない場合があります。障害基礎年金には障害等級などの要件もあり、遺族基礎年金の対象は死亡した人に生計を維持されていた「子のある配偶者」や「子」です。学生の親に当然支給されるという意味ではありません。2910

編集部の見方:先に残す資金を決め、申請と追納に日付を置く

Money Now編集部は、親が払えるかを預金残高だけで決めず、学費と生活防衛資金を残して払えるかで判断するのがよいと考えます。余裕を保てるなら納付、余裕を崩すなら対象要件を確認して特例を申請し、追納を再検討する年月を親子で決める。この順番なら、今の暮らしと子の将来を同じ相談の中で扱えます。2371

通常の保険料納期限は対象月の翌月末で、末日が金融機関等の休業日なら翌営業日です。特例の審査期間は原則4月から翌年3月まで。複数年度にわたる申請には年度ごとの申請書が必要です。原則2年1か月前まで遡れることを、手続きを待ってよい期間とは捉えないでください。今日が全国一律の締切という意味でもありません。12

学生納付特例対象校一覧で在学校を確認し、子の前年所得と照らし合わせるところから始めましょう。そのうえで、親が納付した後に残る預金から、予定している学費と守りたい生活防衛資金を差し引きます。納付の余裕がない場合は、学生証の写しなど必要書類をそろえ、住民登録地の国民年金窓口や年金事務所へ特例の申請を進めてください。82

一次情報・参考資料

  1. 1

    一次情報 · 日本年金機構

    国民年金保険料
  2. 2

    一次情報 · 日本年金機構

    国民年金保険料の学生納付特例制度
  3. 3

    一次情報 · 国税庁

    No.1130 社会保険料控除
  4. 4
  5. 5

    一次情報 · 国税庁

    No.2260 所得税の税率
  6. 6
  7. 7

    一次情報 · 日本年金機構

    国民年金保険料の追納制度
  8. 8

    一次情報 · 日本年金機構

    学生納付特例対象校一覧
  9. 9
  10. 10

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