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【富裕層は165万世帯】純金融資産1億円以上、保有額469兆円 世帯数より資産が速く増えたのはなぜ?

NRIの2023年推計では、富裕層・超富裕層は全世帯の3.0%ながら、純金融資産の26.1%を保有。株価上昇や円安、相続が境界を動かした構造を見ていきます。

オフィスでスマートフォンの資産画面を確認する中年の会社員

野村総合研究所(NRI)の2023年推計では、純金融資産1億円以上の富裕層・超富裕層は165.3万世帯、保有額は469兆円に達しました。2021年から世帯数は11.3%増えましたが、資産額は28.8%増えています。なぜ人数より資産の伸びが大きいのか、5階層の分布と市場の動きから見ていきます。

富裕層が増えたというニュースを見ると、年収が高い人が急増したように感じるかもしれません。しかしNRIが基準にするのは年収ではなく、預貯金や株式などから負債を引いた世帯の純金融資産です。2021年から2023年は、富裕層以上の世帯数よりも、その層が持つ資産額のほうが速く増えました。1

純金融資産1億円以上が富裕層、5億円以上が超富裕層

NRIは世帯の純金融資産を5階層に分類しています。純金融資産とは、預貯金、株式、債券、投資信託、一時払い生命保険や年金保険などの金融資産から、住宅ローンなどの負債を差し引いた金額です。自宅などの実物資産を加えた総資産や、世帯年収とは異なります。1

2023年は、純金融資産5億円以上の超富裕層が11.8万世帯で135兆円、1億円以上5億円未満の富裕層が153.5万世帯で334兆円を保有していました。両者を合わせると165.3万世帯、469兆円です。1

2023年の純金融資産5階層について世帯数と資産額を示し、1億円以上の富裕層と超富裕層を強調した図
NRIの2023年推計をもとにMoney Now編集部作成。純金融資産は金融資産から負債を差し引いた額です。1

全世帯の3.0%が純金融資産の26.1%を保有

5階層の世帯数を合計すると5570.4万世帯です。富裕層・超富裕層の165.3万世帯を割ると2.97%となり、約33.7世帯に1世帯です。一方、5階層の純金融資産は合計1795兆円。富裕層以上の469兆円は26.13%に当たります。1

富裕層以上は世帯数では3.0%にすぎませんが、純金融資産では全体の26.1%を保有しています。世帯の割合と資産の割合には、およそ8.8倍の開きがあります。富裕層の人数だけを見るより、保有額を合わせて見るほうが資産の集中度をつかめます。1

2年間で世帯数11.3%増、保有額28.8%増

2021年の富裕層・超富裕層は148.5万世帯、純金融資産は364兆円でした。2023年には165.3万世帯、469兆円となり、世帯数は11.3%増、保有額は28.8%増です。同じ期間に5階層全体の純金融資産は1632兆円から1795兆円へ10.0%増えました。1

富裕層以上が持つ純金融資産のシェアは22.3%から26.1%へ3.8ポイント上昇しました。増えた16.8万世帯が境界を越えただけでなく、すでに富裕層にいた世帯の保有資産も膨らんだことが、人数と資産額の伸びの差に表れています。1

2021年から2023年に富裕層以上の世帯数が11.3%、保有資産が28.8%、全5階層の資産が10.0%増えた比較図
NRIの2021年・2023年推計をもとにMoney Now編集部計算。割合は小数第2位を四捨五入しています。1

株価上昇が「1億円の境界」を動かした

NRIは、株式や投資信託などの資産価値上昇、円安による外貨建て資産の円換算額上昇、相続を増加要因に挙げています。JPXのTOPIX年間四本値では、年末終値が2021年の1992.33から2023年の2366.39へ18.8%上昇しました。株式の保有割合が高い世帯ほど、売買をしなくても時価評価額が増え、純金融資産1億円の境界を越えやすくなります。13

NRIは、持株会、確定拠出年金、NISAなどを長く利用し、相場上昇で運用資産が1億円を超えた会社員を「いつの間にか富裕層」と呼んでいます。富裕層以上のうち1〜2割程度を占めるとの推察で、年収だけでは近年の増加を説明できないことが分かります。12

自宅を足さず、金融資産から負債を引いて比べる

自分がどの階層に当たるかを見るときは、預貯金、株式、債券、投資信託、対象となる保険を現在価値で合計し、住宅ローンやその他の負債を引きます。自宅の時価を足して資産1億円としても、NRIの富裕層区分とは同じになりません。夫婦それぞれの口座や企業型DC、持株会を漏らさず、世帯単位で確認するのがポイントです。12

J-FLECの資産と負債の洗い出し表には、現金、預貯金、保険、株式、債券、投資信託と、住宅・自動車・カードなどのローンを記入する欄があります。まず同じ日付の時価で一覧にし、そのうち金融資産だけの合計から負債を引けば、NRI区分と比べるための数字を作れます。41

Money Now編集部の見方:富裕層の増加は年収より資産配分で見る

富裕層以上の世帯数が2年間で11.3%増えた一方、保有額は28.8%増えました。この差は、給与所得者が一斉に高所得になったというより、市場価格の上昇が株式や投資信託、外貨建て資産を持つ世帯へ大きく反映された結果と見るのが自然です。13

  • 金融資産:預貯金、株式、投資信託、持株会、確定拠出年金などを同じ日の時価で集計する
  • 負債:住宅ローン、自動車ローン、カードローンなどの残高を差し引く
  • 変化:入出金だけでなく、資産配分と市場価格による増減を分けて見る
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165.3万世帯という人数だけでなく、3.0%の世帯が26.1%の純金融資産を持つ構造を見ると、富裕層の増加は資産価格の影響を強く受けていると分かります。自分の位置を確かめるなら、年収や自宅価格ではなく、同じ基準で計算した純金融資産と、その増減を生んだ資産配分を見ることが出発点です。134

一次情報・参考資料

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    一次情報 · 株式会社日本取引所グループ

    TOPIX年間四本値(2025年末時点)
  3. 4

    一次情報 · 金融経済教育推進機構(J-FLEC)

    将来に向けて知っておきたいお金の話(2025年10月版)

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