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親から毎年110万円、非課税なら同じ?暦年課税と相続時精算課税で変わる将来の相続への加算と、初回届出の意味を考える

原則対象の親子が少額贈与を始める場面で比較。各年110万円を受け取る仮定から、将来の相続への加算と初回届出の違いを整理します。加算額の差は税額の差ではありません。

自宅の食卓で電卓を操作する成人の子と相談する親を肩越しに写した編集部イメージ

2024年以降、相続時精算課税にも年110万円の基礎控除が設けられています。親から少額ずつ受け取る子にとって、暦年課税と今年の贈与税が同じでも、親が亡くなったときの扱いまで同じとは限りません。2026年から贈与を受け始める親子では、将来の相続への加算と、最初の選択届を分けて考える必要があります。

対象は、贈与年の1月1日に子が18歳以上、親が60歳以上で、子がその親の推定相続人に当たる原則的なケースです。住宅取得などの年齢特例は使わず、通常の金銭贈与を初めて精算課税にするか検討する場面を取り上げます。1

同じ年110万円でも、選ぶ単位と集計する単位が違う

暦年課税では、その年の1月1日から12月31日までに受けた贈与財産の合計から110万円を差し引きます。合計が枠内なら贈与税はかからず、申告も不要です。一方、精算課税の年110万円の基礎控除は2024年以降の贈与に適用されます。いずれも財産の額から控除する仕組みです。3

国税庁の複数贈与者の取扱いでは、年110万円の基礎控除は贈与者の人数に応じて増えません。暦年課税は受け取った人ごとに年間合計を集計します。精算課税でも受贈者ごとに年110万円で、複数の特定贈与者がいれば各人から受けた額に応じて按分します。4

課税方式の選択は親などの贈与者ごとですが、基礎控除はそのまま「親一人につき110万円」にはなりません。ただし、精算課税を選んだ親以外から暦年課税で受ける贈与には、暦年課税の基礎控除が別にあります。まず贈与者ごとに方式を分け、その後にそれぞれの方式で年間額を集計する順序です。14

各年の贈与税は0円、相続への加算は220万円と0円

Money Now編集部の仮定として、一人の親から一人の子へ、2026年と2027年に各110万円を贈与し、2028年に親が死亡して子が遺産も相続する場合を比べます。他の贈与はなく、過去に精算課税を選んだこともないとします。精算課税側は2026年分から期限内に選択届を提出する前提です。123

各年に別々の贈与契約が成立し、実際に贈与されることも前提です。最初から複数年分の給付を受ける権利を約束した場合を、単に入金年ごとの贈与として分割する試算ではありません。国税庁は、毎年の独立した贈与と、定期金給付契約に基づく権利の贈与を区別しています。7

暦年課税では各年110万円-110万円=0円となり、贈与税は両年とも0円です。ただし、相続時には110万円+110万円=220万円を課税価格に加算します。2028年の相続に対し、2026年と2027年の贈与はいずれも死亡前3年以内に入るためです。32

精算課税も各年の贈与税は0円です。相続時の加算は、年ごとに基礎控除後の残額を集計するため、(110万円-110万円)+(110万円-110万円)=0円。加算額の差は220万円ですが、これは税額の差ではありません。金額は万円単位の整数で計算し、丸めは行っていません。1

2026年と2027年に各110万円を贈与し2028年に子が相続する編集部仮定。贈与税は双方各年0円、相続加算は暦年220万円と精算0円。
国税庁の制度説明をもとにMoney Now編集部試算。他の贈与なし、各年に贈与成立、精算は初回届出済み、子が遺産も取得。加算額の差は税額差ではありません。123

加算の時間軸と、初回届出で固定するもの

この比較で差を作るのは、贈与税がゼロになる金額ではなく、その贈与を相続税の計算へ持ち戻す仕組みです。12

国税庁の暦年課税の加算期間は、相続開始日が2026年12月31日までなら死亡前3年以内、2027年1月1日から2030年12月31日までは2024年1月1日から死亡日まで、2031年1月1日以後は死亡前7年以内です。基準になるのは贈与の相談日ではなく、親が亡くなった日です。2

暦年加算は、相続等でその親から財産を取得する人が対象です。対象期間内なら贈与税がかからなかった贈与も含みます。一方、死亡前3年以内より前に取得した延長部分には、総額100万円まで加算しない扱いがあります。年ごとの100万円ではなく、今回の2年分にはこの控除を当てません。2

精算課税を選ぶと、選択した年以後、その親からの贈与はすべて精算課税になります。その親について暦年課税へ変更できず、翌年だけ方式を戻すこともできません。年110万円を超える部分に使う累計2500万円の特別控除は別制度で、期限内の贈与税申告が必要です。特別控除を使って贈与税を抑えた部分は、年110万円の基礎控除と違い、原則として相続税の計算へ加わります。14

2026年分から初めて選ぶ場合、選択届の提出期間は原則2027年2月1日〜3月15日です。受け取る子が所轄税務署へ戸籍の謄本などの必要書類とともに提出します。110万円以下で贈与税申告が不要でも、選択届まで不要にはなりません。136

遺産が基礎控除内なら、加算の差があっても税額は変わらない

相続税には「3000万円+600万円×法定相続人の数」という基礎控除があります。贈与の加算などを反映した正味の遺産額がこの範囲内なら、加算額に差があっても相続税は生じません。5

逆に基礎控除を超える場合でも、今回の220万円だけから納税額の差は出せません。ほかの財産や債務、法定相続人の数などを含めて相続税を計算する必要があります。精算課税の加算が小さいという結果だけで、その親子には必ず有利だと決めることはできません。5

また、親が亡くなる時期が変われば、暦年課税の贈与が加算対象期間から外れることもあります。将来の贈与額を大きくする可能性があれば、精算課税の年110万円を超える部分の扱いも判断に加わります。少額贈与の比較は、将来の大口贈与まで含めた優劣を保証しません。21

Money Now編集部の見方:贈与額の前に、親ごとの選択履歴を確かめる

Money Now編集部は、年110万円という同じ数字を見たときこそ、今年の贈与税より先に「この親について選択済みか」「今後も同じ方式を続けられるか」を確認することが重要だと考えます。1

最初の行動は、過去の選択届の控えと、今年にほかの人から受けた分を含む贈与額の一覧をそろえることです。そのうえで、親子の年齢・続柄、将来の遺産規模、遺産を取得する見込みを整理し、選択前に税務署または税理士へ照合してください。145

国税庁の贈与税の手続・様式案内から届出関係の書類や相談窓口を確認できます。2026年末は全員に共通する節税の駆込み期限ではありません。贈与の時期を急ぐ前に、翌年の初回届出と、その後に戻せない選択の意味を親子で共有しておきたいところです。6

一次情報・参考資料

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    一次情報 · 国税庁

    B1-1 贈与税の申告手続
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