円で貯めたお金を円で使う人にとって、確認したいのはドル残高が増えるかだけではありません。預入時に買えるドル数と、満期に円へ戻すときの金額をつなぐと、表示金利からは見えない境目が分かります。23
年3.5%が付くのは初回の預入期間
三菱UFJ銀行の外貨定期優遇プランの金利・適用条件では、円貨から預ける米ドル1年物は年3.5%です。インターネットバンキングは10万円相当額以上が対象で、優遇は初回限り。自動継続後にも同じ金利が続く契約ではありません。1
ここで扱う「インターネット外貨定期」は、インターネット支店のメインバンク プラス利用者向けの商品です。同支店の普通預金の新規口座開設は終了していますが、既存利用者は専用の外貨定期口座を開設できます。ネットで申し込める外貨定期全般と、商品名を混同しないことが出発点です。63
預入時の基準レートを仮に1ドル150円と置きます。これは現在の円相場ではありません。米ドルの為替手数料は片道25銭なので、円からドルを買う適用レートは150.25円。満期後に円へ戻す適用レートは、そのときの仮定基準レートから0.25円を引きます。手数料はこのレートに含め、あとから二重に引きません。2
元本100万円、預入日2026年9月9日、満期2027年9月9日の365日、為替予約なしで試算します。100万円÷150.25円を1セント未満切り捨て、預入額を6655.57ドルとしました。換算時の残余円貨を受取額に加えず、円転額だけで100万円を回復できるかを見る保守的なモデルです。35
同じドル残高でも、円に戻す相場で受取額が変わる
米ドルの付利単位は1ドル、日割計算の年日数は360日です。この例では6655ドル×3.5%×365日÷360日から、1セント未満を切り捨てた236.16ドルが税引前利息になります。預入単位の1セントと、利息を付ける元金の単位は異なります。34
利息税は20.315%。国税15.315%と地方税5%を分け、銀行の公開シミュレーターの端数処理に合わせると、国税36.16ドル、地方税11.80ドルです。税引後利息は188.20ドル、満期のドル元利金は6843.77ドルになります。ここでの通貨・税・円の端数処理は試算用で、実際の約定金額や入金額は取引画面を優先してください。52
満期の基準レートを150円、147円、144円に変えると、円転の適用レートは149.75円、146.75円、143.75円です。すべて同じ元利金に掛け、円受取額は1円未満を切り捨てています。次の図の税引後とは利息への源泉税控除後で、所得としての為替差益に対する個別課税前の円転額です。52
この条件では、3円の円高なら円転額は100万円を上回りますが、6円の円高では下回ります。年3.5%という表示から、3.5%の円高まで元本を守れるとは読めません。125
約3.63円の円高が境目になる理由
100万円を回復する円転適用レートは、100万円÷6843.77ドル=約146.1183円です。これに円転時の手数料0.25円を戻した基準レートは約146.3683円。預入基準150円との差は約3.63円となり、それより円高が進むと円転額が100万円を下回ります。相場を1銭刻みで置くなら、基準146.37円で100万円以上、146.36円では100万円未満です。52
相場が150円のままなら、手取り利息188.20ドルの円換算額は約2万8183円です。一方、元金部分にも往復の為替手数料が作用します。両方を合わせた円転額の増加は2万4854円、元本100万円に対して約2.49%にとどまります。利息の円換算額と、預けた円全体の増加額は同じではありません。52
年率と期間の収益率も分ける必要があります。365日を360日で割るため、丸め前の税引前の期間利息率は約3.55%です。そこから税が引かれ、円へ往復する費用と円高の影響が加わります。「年3.5%×100万円=3万5000円を受け取れる」という計算では、使える円を捉えられません。351
この境目は、満期まで保有した場合の条件付きの計算です。原則として中途解約はできず、銀行がやむを得ないと認めて解約する場合も優遇金利は適用されません。必要な支出が先に来ると、この365日分の利息を前提にできなくなります。13
ドルのまま使うなら、円換算の境目の意味は変わる
将来の支払いが米ドルで、満期のドルをそのまま使うなら、円へ戻す取引を前提にした損益分岐は、その支払い能力を直接表す数字ではありません。3
このモデルの満期残高は6843.77ドルです。使う通貨がドルなら、必要なドル額と照らすことが先になります。ただし、外貨送金などを伴う場合には別の手数料がかかり得るため、円転手数料を省いた分がそのまま得になるとは限りません。本試算には送金費用を含めていません。25
一方、円の支払いがある人がドルで持ち続けても、その支払いに必要な円額が確保されるわけではありません。円高で減った分が待てば回復するという保証はなく、自動継続後の金利も別です。外貨預金は預金保険の対象外で、円元本の保証もありません。13
編集部の見方:満期の前に、円で必要な日と額を決める
Money Now編集部は、円で使う日が決まっているお金ほど、金利の高さより必要な円額を先に確保することが重要だと考えます。32
この商品は当初、自動継続の元金成長型です。円で使うなら、まず満期取扱いを自動解約・外貨受取へ変更し、その後に外貨普通預金から円へ戻す流れを確かめます。満期取扱いの変更は前平日窓口営業日までで、当日扱いの受付時限にも注意が必要です。満期日と円転日は、何もしなくても一致するものではありません。32
応当日が銀行休業日なら原則として翌営業日、翌月になる場合は前営業日へ満期が動きます。本稿の365日モデルをそのまま使わず、実際の取引画面の日付・適用金利・円貨からの適用レートと、満期の受取方法を一組で確認してください。23
迷ったときは銀行の商品説明書の対象者・満期取扱い・問い合わせ先に照らし、自分の口座で可能な取引を確かめられます。表示金利を見て申し込む前に、円で使う予定日と必要額を取り分け、残る資金について円高時の受取額を計算するのが最初の行動です。3
優遇プランの受付は2026年9月30日23時59分完了分までの予定で、途中変更・中止の可能性があります。この日付は条件確認の期限であり、預入を急ぐ理由ではありません。円で必要な額が不足しないかを先に判断したいところです。1















