次の給与が減ると分かったら、まず休業する日と給与が支払われる日をカレンダー上で分けましょう。会社を休む期間が同じでも、傷病手当金の対象となる額は、有給休暇や休業中の手当によって変わります。13
30日の休業は、最初の待期とその後に分かれる
協会けんぽの傷病手当金の給付条件では、仕事以外の病気やけがで療養し、仕事ができない状態であることが前提です。労務不能かどうかは、医師の意見などと仕事内容を踏まえて判断されます。入院に限らず自宅療養も対象になり得ます。1
この記事の対象は、勤務先の健康保険に被保険者本人として加入している会社員やパートです。家族の被扶養者や国民健康保険の加入者に同じ計算を当てはめる話ではありません。業務上・通勤中の災害は労災保険の領域となります。13
初めて休むときは、労務不能の日が連続して3日必要です。この待期には有給休暇や土日・祝日の公休日も入ります。ただし、2日休んで次の日に出勤した場合は、連続3日の待期が成立しません。休業中に給与が出るかとは別に、最初に連続性を確かめます。1
ここでは、30暦日すべて療養のために仕事ができず、最初の3日で待期が完成し、過去の同一傷病の受給や他給付との調整もない例を置きます。残る27日が計算対象です。勤務予定日の数だけを数えた「30勤務日」の休みとは区別してください。1
平均18万円なら日額4000円。有給を置く日でどう変わる?
日額の基礎は直前の手取りではなく、支給開始日以前12か月の各標準報酬月額の平均です。標準報酬月額は、社会保険の計算で使う報酬の区分です。平均を30で割った額を10円単位に四捨五入し、さらに3分の2を掛け、1円未満を四捨五入します。13
Money Nowの試算では、対象の12か月がいずれも18万円と仮定しました。18万円÷30=6000円、6000円×2/3=4000円となり、今回はどちらの段階にも端数が出ません。30日すべて無給なら、4000円×27日=10万8000円です。支給日額に30を掛けた12万円にはなりません。1
次に、最初の待期3日だけ有給休暇で、その後27日は無給とします。待期は有給でも成立するため、手当金の試算は同じ10万8000円です。この金額に待期中の有給賃金は含めていません。1
一方、待期後の27日のうち5日を有給とし、その5日に対応する賃金がそれぞれ日額4000円以上なら、その5日の手当金はありません。無給の22日×4000円=8万8000円です。その5日が有給ではなく、各日2000円の給与のみなら、差額2000円×5日を加えて9万8000円になります。13
図の給与額・有給日数は比較用の仮定です。有給賃金の具体額を置いていないため、給与と給付を合わせた総収入の優劣を表すものではありません。待期後に給与が出るときは、「有給だから一律ゼロ」ではなく、日額との大小を確認します。13
給与の振込日だけを見ても、給付額は分からない
同じ有給休暇でも、待期中なら支給対象になる日数を減らさず、待期後なら給与との調整が生じます。休業の長さだけでなく、有給を使った日と給与が対応する日を分けることが、給付見込みをつかむ鍵です。13
協会けんぽの給与調整と申請サイクルのFAQでは、出勤していない日に対応する有給賃金に加え、出勤の有無にかかわらず支給する通勤手当・扶養手当・住宅手当なども調整対象として挙げています。給与明細の振込合計だけでなく、何日分のどの手当かを勤務先へ確認してください。3
このため「今月、以前働いた分の給与が振り込まれた」という情報だけでは、今回の休業日の手当金を減らすか判断できません。申請書の事業主欄には、申請期間の勤務状況と、出勤していない日に対応する報酬の対象日・金額を記入する形になっています。35
また、支給対象になった日が入金日になるわけではありません。協会けんぽは、事業主の給与証明が必要なため、給与締日ごとの1か月単位の申請を勧めています。申請書の案内では、審査で支払い可能とされた場合は受付から10営業日以内としていますが、休業開始からの日数ではありません。個別の処理・振込状況は加入支部への確認が必要です。23
したがって、試算の10万8000円を次の給与日に使える前提で支出を決めるのは避けたいところです。給与締日、医師・勤務先の記入がそろう日、提出後の審査という順序を踏まえ、入金前に来る支払日を先に洗い出すと、必要な手元資金が見えます。235
加入期間が短い人と、休業が続く人は別の確認も
加入期間が12か月に満たない場合は、今回の12か月平均をそのまま使えません。協会けんぽでは、継続した各月の標準報酬月額の平均と所定の平均額のうち低い方で計算します。2025年4月1日以降に支給開始する人の所定額は32万円です。13
休業が長引く場合、同じ傷病の支給期間は支給開始から通算1年6か月です。今回の30日モデルが毎回新しく始まるわけではないため、以前に同じ傷病で受け取った人は残りの支給期間も保険者に確認しましょう。13
請求の時効も一括ではありません。労務不能だった各日の翌日から2年で進みます。たとえば給与調整のない日額4000円の対象日を5日分未請求のまま時効で失うなら、2万円分に相当します。申請が少し遅れただけで直ちに全額消える制度ではありませんが、古い休業分ほど先に確認が必要です。21
傷病手当金は、病気で休んでいる間の社会保険料を免除する制度でもありません。オリックスグループ健康保険組合も、傷病休職中の健康保険料等は免除されず、納付方法を勤務先に確認するよう案内しています。無給になった月にどう支払うのかも、勤務先へ尋ねておきましょう。4
編集部の見方:給付額のメモと、支払日のメモを分けたい
協会けんぽの傷病手当金申請書と記入案内から、被保険者・事業主・療養担当者の記入欄を確認できます。まず欠勤、有給、給与が一部出る日の区分を勤務先と合わせ、医師への記入依頼を準備します。紙で提出する場合の宛先は加入支部です。健康保険組合に加入している人は、自分の保険者の様式・窓口を確認してください。235
Money Now編集部は、休業中の資金繰りでは「給付がいくらになるか」と「支払日に使えるお金がいくらあるか」を別々に管理することが大切だと考えます。まず勤務先と休業日の区分をそろえ、給与締日後に申請できるよう医師の記入を準備する。そのうえで、次の家賃や保険料の支払日までの残高を確かめたいところです。1234














