まず分けたいのは、通知が届かなかった理由と、預金を受け取るために必要な確認です。この記事では本人名義の銀行預金を扱い、移管前後の制度と、通帳が見当たらないときの照会を順に整理します。1
10年は開設日からではない。最後の「異動」を確かめる
金融庁の休眠預金の対象と払戻しの案内では、2009年1月以降に最後の異動があった預金等が原則として対象です。異動とは、預金を引き続き使う意思を示したと認められる取引など。普通預金だけでなく、定期預金なども対象となります。12
入出金は共通の異動に当たりますが、銀行が付ける利息は原則として異動に含まれません。通帳の記帳や残高照会などは、銀行が異動事由として認可を受けているかで扱いが変わります。古い通帳に利息の記録があっても、それだけで10年の判定が先延ばしになったとは判断できません。2
また、一定の預入期間がある定期預金では、その期間の末日が起点となり、自動継続扱いなら最初の期間の末日から10年間の異動を見ます。預けた年月だけを思い出すより、預金種類と銀行側の最終異動日を聞く方が、現在の状態を確かめる手掛かりになります。2
8000円の口座にも残高はある。通知の対象と合計額を比べる
通知の基準は、金融庁Q&AのQ10・Q14に示されています。移管対象となりうる預金等のうち、残高1万円以上には登録住所へ通知が送られます。銀行によってはメールで通知する場合もあり、1万円未満には通知がありません。受け取れば、その後10年間は休眠預金等になりませんが、住所変更を届けていないなどの理由で届かなければ、移管されることがあります。2
ここで、本人名義の円普通預金が別々の銀行に3口座あり、制度の対象だと仮定します。残高はAが8000円、Bが2万5000円、Cが12万円。Money Now編集部が、金融庁の原則の通知基準に当てはめた比較です。実在する人の残高や回収事例ではありません。2
3口座の合計は、8000円+2万5000円+12万円=15万3000円です。通知の原則基準に当たるBとCだけを足すと14万5000円となり、8000円分が確認対象から抜けます。Aに通知がなくても、残高ゼロという意味ではありません。2
BとCも、金額が基準以上だから必ず本人の手元に通知が残っているとは限りません。登録住所と通知の到達状況を確認する必要があります。通知を探す作業と、口座が存在するかを銀行に照会する作業を分ければ、少額のAも含めて確認できます。実際の払戻額は、利息や手数料の扱いも含めて各銀行に尋ねてください。23
通知を探すより、本人の口座と確認できる情報を集める
通知の有無は、残高が戻るかどうかを判定する材料にはなりません。通知が必要な残高か、登録先へ届いたかという連絡の条件と、本人の預金として払い戻せるかという手続きの条件が別だからです。23
金融庁は、休眠預金として移管された後も取引のあった金融機関で引き出せると案内しています。払戻しの期限はありません。通帳などをなくしている場合にも、本人確認書類などによる手続きができます。通知なし、通帳なしという二つの事情が重なっていても、それだけで照会を諦める理由にはならないのです。1
具体的な受付例として、三菱UFJ銀行の長期未利用預金の照会・来店案内は、通帳・証書・カード・取引印が見当たらなくても、本人の預金であることを確認できれば払戻しができるとしています。有効期限内の本人確認資料のほか、支店名・口座番号が分かるものなどを用意し、店頭窓口へ相談する案内です。3
手元では、古いカードや銀行からの郵便物、振込先を控えた資料などを探し、銀行名・支店名・口座番号が分かる部分を確認しましょう。番号まで分からなければ、その不足も最初に伝え、何を使って照会できるかを銀行に聞きます。資料が全部そろうまで待つというより、見つかった手掛かりから必要な確認方法を尋ねる進め方です。31
同銀行では来店予約を求めており、予約がないと後日の案内になる場合があります。また、休眠預金になった通帳・カードはそのまま使えず、本支店窓口での手続きが必要です。口座状態の確認により、支払いまで日数を要することもあります。これは三菱UFJ銀行の運用例なので、他行では利用先の公式窓口で受付方法を確認してください。3
もっと古い銀行口座や郵便貯金は、対象制度から分ける
ただし、「10年以上前の口座」というだけで、すべてがこの制度の対象になるわけではありません。最後の異動が2009年1月より前の預金等は原則として対象外です。金融庁は、こうした預金等も通常は金融機関が引き出しに応じていると説明し、個別の取扱いの確認を求めています。2
外貨預金なども対象外です。さらに、2007年10月1日の郵政民営化より前に郵便局へ預けた定額・定期・積立郵便貯金等には、ここで説明した休眠預金の払戻期限の案内を当てはめられません。金融庁の対象外一覧で種類を確かめ、古い郵便貯金は同庁が案内する郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構などの公式窓口で取扱いを確認してください。1
名義人が亡くなっている口座は、本人名義の照会と同じ準備ではなく、銀行所定の相続手続きについて相談します。昔の銀行が合併している場合には、引き継いだ現在の金融機関が払戻しの手続先になります。古さや銀行名の変更だけを理由に、残高がなくなったと決めつけないことが大切です。21
編集部の見方:残高だけでなく、使える日まで確認する
一律の払戻期限がない以上、「今日動かなければ失う」と急ぐ必要はありません。ただし、次の支出に充てたい場合は別です。金融庁も、長期間取引がない預金の引き出しは通常より時間がかかり、窓口手続きになることを想定しています。使いたい支払日が決まっているなら、その日を伝え、照会・本人確認・払戻しの必要日数を銀行に聞きましょう。13
Money Now編集部は、通知を待つより、思い出した口座を少額でも照会の候補に残すことが大切だと考えます。残高を確認できた後は、実際に使える日まで確かめて初めて、家計の支払いに充てる判断ができます。まずは銀行名・支店名・口座番号の手掛かりを探し、見つかった情報と紛失しているものを公式窓口へ伝えてください。13















