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親の預金は遺産分割前にいくら使える?1金融機関150万円の上限と、子ども一人で払い戻す条件・銀行へ持参する書類

遺言がなく配偶者と子2人が相続する例で、相続分を使って銀行別の払戻枠を試算。戸籍・印鑑証明などの準備と、請求書の支払日に間に合うかを確かめる手順を整理します。

銀行の窓口で閉じた無地の通帳を差し出す成人の手

親が亡くなったと銀行へ連絡すると、預金の入出金などは原則として制限されます。ただし、遺産分割が終わる前でも、相続人が単独で一定額を払い戻せる制度があります。同じ金融機関では150万円が上限ですが、必ずその額を受け取れるわけではありません。手元の請求書に充てられる金額は、親の預金額と自分の相続分、預け先の銀行で変わります。

支払いのために預金を使いたいときは、まず「遺産分割前の単独払戻しを検討している」と銀行へ伝えます。相続人全員で請求する通常の相続手続きと、今回使いたい制度を区別して相談することが出発点です。3

単独払戻しの上限は「残高・相続分・銀行」で決まる

全国銀行協会の払戻し制度リーフレットによると、家庭裁判所の判断を経ずに請求できる額は、相続開始時の預金額に3分の1と申請者の法定相続分を掛けて求めます。法定相続分とは、民法が定める相続人ごとの割合です。14

計算は口座ごとに行い、定期預金なら明細ごとです。そのうえで、同じ金融機関から一人の相続人が受ける払戻しは合計150万円まで。別支店の通帳があっても、この上限を支店ごとに増やすことはできません。1

150万円は誰でも受け取れる定額ではありません。計算額がそれより少なければ、その額が枠になります。また、親の預金全体を自由に動かせる手続きでもありません。残高を把握するときは、銀行名、支店名、口座や定期預金の明細を分けて書き出し、同じ銀行の分をまとめると整理しやすくなります。1

A銀行1800万円、B銀行600万円なら子一人で計200万円

ここからはMoney Now編集部の試算です。遺言はなく、法定相続人は亡くなった親の配偶者と成人の子2人だけ、制度による既払戻しはないものとします。相続開始時の対象預金はA銀行に1800万円、別のB銀行に600万円あり、全額が残っている設定です。A・Bは仮名で、特定の銀行の商品比較ではありません。14

国税庁の法定相続分の説明では、配偶者と子が相続人の場合、配偶者は2分の1、子は全員で2分の1です。子2人が均等に分けるので、申請する子一人の法定相続分は4分の1になります。4

A銀行は「1800万円×1/3×1/4=150万円」。B銀行は「600万円×1/3×1/4=50万円」です。それぞれの銀行で上限を適用した合計は200万円になります。A銀行の1800万円が複数支店に分かれていても、各預金の計算枠を合算し、一行で150万円までとする点は同じです。14

A銀行1800万円は150万円、B銀行600万円は50万円で合計200万円。同じ2400万円が一行なら150万円となる独自試算
全国銀行協会・国税庁の制度説明をもとにMoney Now編集部試算。遺言なし、配偶者と子2人、申請者1/4、既払戻しなし。仮定残高による法定枠で、受取日を保証しない。14

比較のため、総額2400万円がすべてA銀行にあったとします。式では200万円になりますが、一行の上限が適用され、単独払戻しの枠は150万円です。今回の1800万円はちょうど上限に達する残高で、それを超えても、この子の同じ銀行での枠は増えません。14

同じ総預金2400万円でも、今回の子ども一人の払戻枠は、二つの銀行なら200万円、一つの銀行なら150万円です。差を生むのは支店数ではなく、金融機関ごとの上限です。14

この比較は、亡くなった後に預金を移して枠を増やす提案ではありません。計算の基準は相続開始時です。まず当時の預金の所在と残高を銀行に確認し、いま請求できる範囲を把握するための比較です。試算は端数の出ない例で、利息や手数料、税を差し引いた手取り額を計算したものではありません。1

払戻枠が足りても、書類と受取日の確認が残る

単独で請求できることと、自分の通帳や身分証だけで済むことは別です。相続関係を証明するため、ほかの相続人に関する戸籍も必要になります。全銀協が示す基本書類は次のとおりです。1

  • 申請者の本人確認書類
  • 亡くなった親の出生から死亡まで連続した戸籍・除籍等
  • 相続人全員の戸籍謄本または全部事項証明書
  • 払戻しを希望する本人の印鑑証明書
1

三菱UFJ銀行の制度説明も、亡くなった人と相続人の戸籍、払戻しを希望する人の印鑑証明書を挙げています。同じページにある「法定相続人全員で払戻請求」の一覧を、そのまま単独払戻しの一覧として使わないようにします。申請方式が違うためです。3

来店前には、銀行所定の請求書、実印、親の通帳・証書等の持参要否、受け付ける本人確認書類、証明書の発行日条件を相続窓口で聞いてください。戸籍を取り寄せる前に、法定相続情報一覧図の写しで代えられるか、原本の返却や複数行への提出をどう進めるかも確認しておくと、準備の順序を決めやすくなります。32

提出すればその場で全額を受け取れるわけではありません。銀行は書類の内容を確認するため、払戻しまで時間を要します。請求書の支払日、書類がそろう見込み日、銀行が案内する処理見込み日を並べてください。全国一律の「何日で入金」とは置かず、A銀行とB銀行にそれぞれ確かめます。12

家計側では、実際に届いた請求書の金額と期日を使います。「期日までの請求額−その日に使える自己資金−その日までに受け取れる払戻金」がプラスなら、その分の資金が不足する計算です。未入金で時期も確定していない200万円を、今日の資金に足してはいけません。準備が遅れた場合の不足期間は、支払日と実際に資金を用意できる日との差で見ます。21

不足が見込まれる場合は、請求元へ支払方法や期日の相談ができるかを早めに確認するのも一つの対応です。変更が認められるとは限りませんが、必要額と不足する期間を伝えれば、相談する内容が具体的になります。借入利息や延滞料が必ず発生するものとして、支出を上乗せする必要はありません。2

遺言がある場合や放棄を考える場合は先に相談

遺言で預金の承継先などが指定されている場合は、この制度を利用できないことがあります。遺言が見つかったら、上限内だから使えると判断せず、内容を銀行へ伝えてください。相続放棄を検討している人は、払戻しを申し込む前に弁護士などへ個別に相談することが先です。13

受け取った預金は、後日の遺産分割で、その相続人が取得した分として調整されます。葬儀費用等に充てる予定でも、自分の取得分と無関係な追加の給付ではありません。払戻日と金額、支払先と領収書を記録し、後で説明できるようにしておきましょう。1

計算上の枠を超える資金が必要なら、家庭裁判所の判断による別の制度もあります。遺産分割の審判や調停が申し立てられていること、仮払いの必要性、ほかの共同相続人の利益を害しないことなどが条件です。銀行の窓口だけで上限を増額する手続きではないため、家庭裁判所の手続案内や弁護士への相談につなげます。13

編集部の見方:支払日までに使える額で判断する

Money Now編集部は、この制度の利用判断では「計算上の枠」と「支払日までに受け取れる額」を同じ紙に並べることが大切だと考えます。残高が十分でも、必要書類がそろう日と銀行の確認が終わる日が支払いより後なら、当面の資金不足は残るからです。12

死亡の連絡で預金が消えるわけではなく、相続の手続きに沿って払戻しを進めることになります。急ぐ基準は「9月中に制度が終わる」といった日付ではなく、手元の請求書の期日です。銀行から回答を得たら、その日に使える額だけを支払予定に反映してください。21

三菱UFJ銀行の相続手続き案内には受付から支払いまでの流れや書類の案内があります。同銀行に預金がある人の確認先の一例です。預金先の各銀行の相続窓口へ、遺産分割前払戻しを検討していることと支払予定日を伝え、必要書類と所要日数を確認するところから始めましょう。5

一次情報・参考資料

  1. 1

    一次情報 · 全国銀行協会

    遺産分割前の相続預金の払戻し制度
  2. 2

    一次情報 · 全国銀行協会

    預金相続の手続の流れ
  3. 3
  4. 4
  5. 5

    一次情報 · 三菱UFJ銀行

    相続のお手続き

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